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羽鳥 雅一; 小林 孝典; 坂本 勉; 中江 秀雄*
no journal, ,
片状黒鉛鋳鉄の一種である高P鋳鉄において引張強さの低下が認められたため、化学成分分析を実施したところ、微量のPb及びCaの含有が確認された。当該品の金属組織には、片状黒鉛の形状に異常が生じたウィドマンステッテン黒鉛が観察された。このため、他の既納品についての健全性の評価が求められた。ウィドマンステッテン黒鉛の有無については、スンプ法による評価も可能であるが、既納品に対して行うことは作業性に大きな問題があることから、非破壊検査による評価方法が求められた。片状黒鉛鋳鉄において引張強さと試料中を伝播する音速には相関が見られることが報告されていることから、黒鉛形状の異常であるウィドマンステッテン黒鉛の発生した片状黒鉛鋳鉄に同様の関係が成立つか否かについて、超音波厚さ計による音速測定を実施し確認を行った。この結果、Pbの混入による黒鉛形状の異常(ウィドマンステッテン黒鉛)が発生した場合にも、試料中を伝播する音速と引張強さに相関があることが確認された。これにより、Pb混入の可能性を有した片状黒鉛鋳鉄の非破壊での識別が可能になったものと考えられる。